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決して離れない


鍵屋がくれたこの変な傘、またこの時期も咲いたね朽名。

俺と同じ名前の、この花の意味を知ってる?


初めて出合ったときに朽名が歓迎してくれなければ、俺はあのまま村に帰って殺される道しかなかったんだ。

「食べる」なんて言っていたけど、あれ朽名なりの優しさだったんだろ?あの頃は冷たい死しか見えていなかったから。


だから俺はここで君と一緒に生きていくよ、昔と姿が変わってしまっても決して離れないよ。

…恋に酔っているのか、君に酔っているのか。俺はどちらに溺れてるだろうな。



風に揺れる藤紫色の雨の中で、離れようとしない蛇と共に薄く微笑んでいた。










藤の花:「歓迎」「決して離れない」「優しさ」「恋に酔う」

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