おい、もしもし。はじまり始まりって物語読んでたら、いつの間にかふーのやつ寝ちまったぞ。せっかく書庫が空いたのによ。
はい、聞こえますよ。そうですね。
暖房をつけたので、すっかり部屋が暖かいですもんね。微笑しているのを見る限り、きっと今度は夢の中で何かを始めているのでしょう。
冒険か、見たことのない景色を見ているのか、別の誰かになっているのか…。どんな夢を見ているのでしょうね。
部屋の外からジリリリっと何かの音が聞こえてくる。
あー…。駅の見送りか?それともゴーストが何かやらかしたか?どちらにしろ呼び出しだ。
…こいつなかなか起きないんだよな。
なぁ、「あれ」で、起こしてやろうぜ!始まった新しい物語の中で、突然二人でしたらどんな表情(かお)するか…気にならないか?
ふふ、いいですね。やってみましょう!
じゃあいくぞ。…1、2、3
「おう、起きたか。はは、どうしたんだそんな表情して」
「…ほっぺた…食べられるかと思った」
「ふふ、どんな夢を見てたんですか?」
まだ眠たそうに眼をこする一匹を置いて、二匹の鼠が笑いあった。

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